私は小学生や中学生向けの学習塾(子ども教室)を運営しています。
この私の学習塾(子ども教室)に通ってくださる生徒さんで、最近やる気を無くしかけていたお子さんがいました。
しかし、なぜか急に気持ちが変わってやる気を出し、お母さんの気持ちまで変えたという事例がありましたので、今回はそのことについてお話します。
こんちには。つつじ屋です。
地方在住の50代。子どもの教育に関わる仕事を週2回ペースでしています。
家族:だんな 定年間近の会社員
長男 大学生 勉強が大好き
次男 大学生 自由が大好き
三男 高校生 ウルトラマン大好き
三男は発達障害グレーゾーンで境界知能の持ち主です。
このブログでは、この三男にまつわるエピソードや困り事などを、グチ多めでつづっていきたいと思っています。よろしくお願いします。
ある日、教室の生徒さんのお母さんから電話が、、、
「先生、申し訳ないのですが、今月いっぱいでやめさせていただきたいのですが・・・。」
ということ。
お話を伺っていくと、教室の宿題をやろうとしない、やり始めてもやる気なくダラダラやっていて、とても時間がかかり、お母さんには大きなストレスになっていたようです。
私からお母さんには次のようなことをお話ししました。
・ ご家庭での宿題の取り組み方に配慮が足りなかったことへのお詫びと、ここまで一緒に頑張って下さったことへの感謝。
・ その時N君がやっていた問題がかなり面倒なものであり、多くの生徒さんにとって一つの壁になりがちであること
・ どの教科でも必ず壁はやってくる。一つ越えてもしばらくするとまたやってくる。大変さを共感してあげることも大切。
ざっくりこのようなことです。するとお母さん
「ではあと2週間、様子を見ようと思います。それでもだめだったら、やっぱりやめさせていただくことにします。」
とほんの少し前向きに考えてくださいました。
その頃のN君の教室での様子は、やはりお母さんがおっしゃっていたことに近いものでした。
「あ~もうだるい。」
と言いながら、友達にちょっかいを出したり、なかなか集中できません。教室での様子とお母さんのお話から、おそらくN君はやめてしまうんだろうなあと感じていました。
ところがどっこい。それからのN君はすごかった。
いつもは5枚のプリントをこなすのもいっぱいいっぱいだったのに、
「先生、おれ、今日から10枚やるから。〇日までに次の教材に進むから、絶対!」
なんて言うではありませんか。
「え?でも教室嫌なんじゃないの?」
と聞いてみたら、
「ううん、おれやめたくない。次に進まないとやめさせられる。」
てっきりやめたがっていると思っていたので、びっくりです。
「よし、分かった。〇日までに次の教材に進むの、結構大変だけど、がんばろう!」
次の教室ではもうくじけてしまうかもしれない。でも今そう考えているN君を全力で応援することにしました。
3時間近く教室にいることもありました。20枚やった日もありました。友達が先に帰っても惑わされずに取り組んでいました。
そして宣言通り、めでたく次の教材へ!もう拍手!!
この時のN君は本当に嬉しそうでした。
「よかったね!よくがんばったよ!お母さんに報告しなよ、おれ、がんばったんだよ、って。」
「うん、わかった!」
満面の笑みで帰っていきました。
そして次の教室日。N君はお母さんといっしょにやってきました。
お母さん:「先生、ありがとうございました。Nがこんなにやるとは思いませんでした。
壁を超える前にやめさせてしまうところでした。勝手を言って申し訳ないのですが、やっぱりこのまま続けさせてください。
次に壁が来ても、もう少しわたしも余裕をもって見られる気がします。」
わたし:「いえいえ、私の力ではありません。N君ががんばったんです。全力を出してやり遂げたんです。くじけずにがんばり通してくれて、そういう姿を見せてくれて、感謝するのはこちらです。」
そんな会話をかわしました。N君とおかあさんの満足そうな表情は忘れられません。お二人の笑顔は私へのプレゼントでもありました。
その後、いつも通り学習に取り組むN君。そっと近づいて
「N君、すごいね。自分の力でお母さんの気持ち、変えちゃったね。認めてもらったね。なかなかできる事じゃないよ。かっこいいよ!」
と伝えました。うん、うん、とうなずきながら、いい顔してました。
この一件は私の失敗でもあります。
ご家庭でのお母さんの負担に配慮が足りなかったことです。
教室での様子から、想像することはできたはず。
N君には、宿題が多くないか、自分でやれているかなどを聞き、お母さんには、どうにもできなかったらそのまま教室に持ってきてくれればいい、と伝えて、やる気が落ちた時の対処をもっと早くすべきでした。
そんな私のミスを自らのがんばりでないものにしてくれたN君。感謝しかありません。
子どもの本当の気持ちって、案外分からない。行動に伴わない時がある。この子はこれくらいかなという勝手な思い込みは一番危うい。
子どもはいつも大人の想像を超えていく。自分の力を認められた時、その子の力はさらに飛躍的に伸びる。
今回大きな成長を見せてくれたN君は、今もいいペースで学習しています。N君のこれからが楽しみで仕方ありません。
↓こちらは、うちのグレーゾーンの子どもの将来についてお話しています。
↓こちらでは、特別支援学校へ入れないか試行錯誤していたころのお話をしています。
↓こちらでは、高校(専修学校)入学までの紆余曲折についてお話しています。
↓こちらでは、高校(専修学校)の入学費用についてお話しています。
↓こちらは私がグレーゾーンの息子に向けて書いた読書感想文の一覧表です。