今回のお話は『にんぎょひめ』。
アンデルセン童話です。想いが届かずに消えていく人魚姫。切ないお話です。
人魚姫は海の底にある人魚の国で暮らす6人姉妹の末っ子です。
15歳になった人魚姫は海の上に飛び上がり、そこで船に乗っていた王子を見つけます。すると、嵐でその船が沈没してしまい、王子も海に投げ出されます。人魚姫は必死に王子を助け、砂浜まで運びます。
そこへひとりの娘が通りかかり、王子を見つけます。その時王子が目覚め、「君が助けてくれたんだね。」と、自分を助けたのはその娘だと勘違いしてしまいます。
王子に会いたくてたまらず、人間になりたいと思い、魔法使いに人間にしてくれるようにお願いします。しかし、人間になることと引き換えに、声を奪われてしまいます。
砂浜に倒れていた人魚姫を王子が見つけ、城に連れて帰ります。声を奪われた人魚姫は何も話すことができません。そしてある日、王子がお見合いをすることになりました。それはあの日砂浜で出会った娘でした。王子はとても喜び、ふたりは結婚します。
悲しむ人魚姫のもとへ姉たちがやってきて、ナイフで王子を殺すように勧めます。そうすれば人魚に戻れるのです。ナイフを手に王子のもとへ向かう人魚姫ですが、王子を殺すことはできませんでした。
そして人魚姫は消えてしまいます。でも人魚姫はもう悲しくはなく、人を愛した喜びに満ちていました。
どれほど声を出して叫びたかったことでしょう。あなたを助けたのは私です、と。どれだけ相手を想っても、かなわない時はあります。誰も悪くありません。・・・切ない。
うちの三男、グレーゾーンボーイです。
私は地方在住の50代。子どもの教育に関わる仕事を週2回ペースでしている”つつじ屋”といいます。
家族:だんな 定年間近の会社員
長男 大学生 勉強が大好き
次男 大学生 自由が大好き
三男 高校生 ウルトラマン大好き
三男は発達障害グレーゾーンで境界知能の持ち主です。
このブログでは、この三男にまつわるエピソードや困り事などを、グチ多めでつづっていきたいと思っています。よろしくお願いします。
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読書感想文『にんぎょひめ』 例文
以下感想文です。
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とてもかなしいおはなしでした。
にんぎょひめはせっかくにんげんになれたのに、おもいがつたわらないまましんでしまいます。おうじをたすけたのがじぶんだということも、おうじをすきなきもちもつたわりませんでした。にんげんになんてならなければよかったのに、そうしたらうみでずっとしあわせにくらせていたのに。もっといえば、うみの上なんてみにいかなければよかったのに。
にんぎょひめは6人しまいのいちばん下です。おばあさんに15さいになったらうみの上のせかいをみていらっしゃい、といわれていました。おねえさまたちのはなしをきいて、にんぎょひめもうみの上をみることをたのしみにしていました。
おばあさんはどうしてうみの上をみにいくようにいっていたのかなとおもいます。
うみの中だけでなくていろんなところをみたほうがいい、ということなのかな。べんきょうさせるつもりでいっていたのかな。
おねえさまたちは、まちのけしきなどをみて、いってみたいとはおもわなかったのかなとおもいました。
にんげんにはあわなかったのかな。いってみたいとはおもったけど、しらないところへいくのはこわいから、いかなかっただけかもしれません。もしおねえさまたちがおうじにであっていたら、にんぎょひめのようににんげんになってあいにいったりしたのかなとちょっとぎもんにおもいます。あいたいけど、こわくてなかなかできないとおもいます。それをおもうと、にんぎょひめはそれほどおうじのことがすきで、ゆうきがあったんだとおもいます。
こえをなくすことでにんげんになれたにんぎょひめは、おうじにあうことができ、いっしょにくらせました。
でもおうじはほかのくにのおひめさまとけっこんしてしまいます。おねえさまたちにおうじをころせばまたにんぎょにもどれるから、といわれますが、にんぎょひめはおうじをころせませんでした。
ほんとうにおうじをたすけたのはにんぎょひめなのに、それがつたわらなくてかわいそうです。
でも、おうじがめざめたときにそばにいたのはそのおひめさまだったから、しかたないのかな。おうじはうみべでたおれていたにんぎょひめをたすけただけです。おうじはやさしいけれど、にんぎょひめのことがすきでたすけたのではありません。
さいごににんぎょひめがおうじをころさなくてよかったとおもいます。
大すきな人をころせるはずがありません。たとえにんぎょにもどれても、にんぎょひめはずっとこうかいしたとおもいます。でも、おうじとおひめさまのふたりのしあわせを心からしゅくふくできたのかはわかりません。それはできなくても、おうじのことを大すきなきもちはかわらなかった。おうじにあわなければだれかをすきになるきもちもしらなかったのです。おもいはつたわらなかったけど、おうじのそばにいられたことはにんぎょひめにとってはとてもしあわせだったとおもいます。
このおはなしではだれもわるくなかったとおもいます。
おうじはじぶんをたすけたおひめさまとけっこんしただけ。おひめさまもうみべでたおれていたおうじをみつけただけ。おねえさまたちもにんぎょひめをたすけたかっただけ。そして、にんぎょひめのねがいはかなわなかった。
でも、にんぎょひめがきえていくとき、「ひとをあいしたよろこびにみちていた」とかいてあったから、かなしいだけでなくてすこしはあたたかいきもちになれていたことがよかったです。
『にんぎょひめ』で伝えたいこと
![図書館でお勉強](https://www.grayzone.blog/wp-content/uploads/2023/11/toshokan_benkyou.png)
自分の願いがいつも叶うとは限らない
声を失い、死んでしまうかもしれないことが分かっていながらも人間になって王子に会いたいと願った人魚姫。その気持ちの強さや覚悟は、まさしく恋は盲目状態と言えるでしょう。
でも、いくら人魚姫が王子のことを想っても、王子の気持ちは分かりません。たとえ人魚姫が想いを伝えられたとしても、王子の愛を受けられたかは分かりません。自分の想いの強さで人の気持ちを変えることは難しいのです。
![子どもの夢のイラスト](https://www.grayzone.blog/wp-content/uploads/2024/01/kodomo_syourai_yume2.png)
願いが叶わなくても誰かのせいにしない
このお話で、王子やお姫様が悪かったわけではありません。
お姫様は砂浜を歩いていたら倒れている王子を見つけ、大丈夫かと思い近づいた。王子は目覚めた時にそこにお姫様がいたからお姫様が助けてくれたと思った。お姫様が「私が助けた。」と嘘を言っているわけではなく、心配してそばにいたことが助けたという状態になっていたのです。
声を出せない人魚姫のことを王子が理解できなくても仕方なかった。まして、人魚姫の自分への恋心に気づくわけがありません。
そんな中で自分の願いが叶わなかったからといって、王子を殺して人魚に戻ろうとするのはやっぱり何か違いますよね。自分があらゆるリスクを承知の上で人間にしてもらったのです。ダメだったから戻りますでは虫がいい。
誰のせいでもなかったのです。その道を選んだのは人魚姫自分自身。王子を殺せなかったことで、自分の想いを守り通すことができました。
![落ち込んでいる女性 イラスト](https://www.grayzone.blog/wp-content/uploads/2024/01/buranko_businesswoman_sad.png)
「声」を失うことは自分の存在を失うこと
もしも人魚姫が話すことができていたら、状況は少し変わったかもしれません。
言いたいことが言えないこと、相手に伝わらないことはこんなにも苦しいのです。
私たちはおお互いに話すことでコミュニケーションをとります。「言わなくても分かるだろう。」はあまり通用しません。また、プレッシャーや権威を前に、”何も言えなくなる” ということもあります。これも声を失った状態です。
声を失うということは、自分という人間がここにいるということを表明できなくなること。つまり自分自身がいなくなってしまうことに等しいとも言えます。もちろん手話などでのコミュニケーションがとれれば問題ないでしょう。しかしその能力がない場合や権威を前に何も言えなくなっている場合は、自分は存在していないとも言えるかもしれません。
悲しい言い方をすれば、声を失ってしまった人魚姫は、王子にとっては存在しなかったのかもしれません。
![人魚姫 イラスト](https://www.grayzone.blog/wp-content/uploads/2024/01/ningyohime.png)
↓いろんな本にふれる機会があるといいですね! ↓
![](https://www.grayzone.blog/wp-content/uploads/2024/02/Picture-book-subscription-500x281.jpg)
今回も400字詰め原稿用紙3枚分です。(1200文字)
大好きな王子に気持ちが届かなかった人魚姫。
声を持たず、想いを伝えることさえできませんでした。それでも最後、王子を殺すことなく、自分が消えることを選んだ人魚姫は、本当に王子のことを大切に想っていたのですね。「人を愛した喜びにみちていた」なんて、どんな悟りの境地でしょう。薄汚れた私のようなものにはたどり着けない言葉です。
お子さんの感想文としては、「お姉さまたちが最初から人魚姫を止めていたらよかったのに。」とか「魔法使いはひどい。人魚姫が辛い思いをすること、わかっていたんじゃないかな。」とか「私は逆に海の中の世界を見に行きたい。」といったものもいいですね。
貝殻の髪飾りにあこがれる、純真な心を持ったあの日に帰りたいです・・・。
![困った顔](https://www.grayzone.blog/wp-content/uploads/2023/05/954049c4ede5e7d63ef2d7fea26eb79d.png)
↓こちらは読書感想文の一覧表です。
↓ここから下は夏休みの読書感想文です
![](https://www.grayzone.blog/wp-content/uploads/2024/02/New-adventure-500x281.jpg)
↓こちらは夏休みの詩の宿題です
![](https://www.grayzone.blog/wp-content/uploads/2024/06/typhoon-poem-500x281.jpg)
出典 厚生労働省 発達障害者支援施策の概要