今回のお話は『おしいれのぼうけん』。
1974年の発行以来、ずっと読み継がれているお話です。押し入れの中でさとしとあきらが繰り広げる大冒険。男の子に人気のあるストーリーです。
さくらほいくえんには怖いものがふたつあります。ひとつは押し入れで、もうひとつはねずみばあさんです。ねずみばあさんは人形劇の登場人物です。
さくらほいくえんでは、悪いことをすると押し入れに入れられてしまいます。ある日、さとしとあきらがお昼寝の時間に走り回り、押し入れに入れられてしまいました。さとしは「押し入れの外で考える」とみずの先生に言いますが、問答無用で入れられてしまいます。これにさとしは腹を立て、絶対に謝りません。
そうは言ってもだんだん怖くなってきたふたりの前にねずみばあさんが現れ、ふたりをねずみたちに食べさせるとおどかされます。必死で逃げるふたり。薄暗い森の中、夜の高速道路、下水道と、ふたりで励ましあいながら逃げていきます。最後には大きくなったミニカーとデゴイチに乗って、ねずみばあさんを追い払います。
やっと押入れを開けてもらい、外に出られたふたり。みずの先生はふたりに謝ってくれました。ふたりはみんなに冒険の話をします。それ以降、押し入れはみんなが大好きな場所になりました。
そして、押し入れとねずみばあさんはさくらほいくえんの楽しいものになりました。
”押し入れに閉じ込める”というのも時代を感じますね。今ではそんなことやらないでしょうが、子どもにとっては”押し入れはちょっと怖いもの”というイメージは変わらずにあるのではないでしょうか。同時に同じくらいワクワクするものでもありますね。
うちの三男、グレーゾーンボーイです。
私は地方在住の50代。子どもの教育に関わる仕事を週2回ペースでしている”つつじ屋”といいます。
家族:だんな 定年間近の会社員
長男 大学生 勉強が大好き
次男 大学生 自由が大好き
三男 高校生 ウルトラマン大好き
三男は発達障害グレーゾーンで境界知能の持ち主です。
このブログでは、この三男にまつわるエピソードや困り事などを、グチ多めでつづっていきたいと思っています。よろしくお願いします。
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読書感想文『おしいれのぼうけん』
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さとしとあきらのぼうけんは、すこしこわくてドキドキしたけど、おなじくらいワクワクしました。
ゆめの中でもこんなぼうけんはなかなかできません。ふたりともこわいきもちにまけずにねずみばあさんにたちむかっていて、すごくつよいなとおもいました。
さくらはいくえんでは、わるいことをするとおしいれにいれられます。
そしてあやまるまでだしてもらえません。みんなそれをとてもこわがっています。さとしとあきらも、おひるねのときにはしりまわっていたからおしいれにいれられました。
おしいれにとじこめてしまうなんて、すこしやりすぎなきもします。
どうしてはしりまわっていたのかをふたりにきいて、どうしたらよかったのか、いっしょにかんがえればよかったとおもいます。
さとしもあきらもすぐにあやまればよかったのに。
ぼくだったらぜったいにすぐにあやまります。あんまりはんせいしていなくても、きっとすぐにあやまったとおもいます。こわいおもいをするのはいやです。あんまりおこられるのもいやだから、とりあえずあやまります。どちらかというと、あきらはあやまりたそうでした。でもさとしにはげまされて、なんとかがまんします。
どうしてそこまであやまりたくなかったのかなとおもいます。
おひるねのときにはしりまわっていたことはわるかったのだから、おこられるだろうし、あやまったほうがいいとおもいます。ふたりはそのことはわるかったとおもっていたのかな。わるかったとはおもったけど、むりやりおしいれにいれられたことがなっとくできなかったのかな。なんかいもやめなさいといわれてもやめなかったのだから、むりやりいれられてもしかたなかったきもします。
さとしはいたずらっ子でやんちゃなイメージだけど、やさしいところもあります。
あきらをはげましたり、ミニカーをかえしてちゃんとごめんねとあやまっています。そしてねずみばあさんのまえでは「ごめんなさいなんていうもんか。」とすごくつよきです。
あきらはちょっときがよわいけど、さとしにはげまされていっしょにぼうけんをのりこえます。
あきらひとりだったらすぐにあやまったりあきらめたりしそうだけど、さとしといっしょだったからさいごまでぼうけんをつづけられました。
きっとふたりは大しんゆうになったとおもいます。
さとしもあきらもひとりだったらぼうけんはできなかったとわかったとおもいます。ふたりだったから、ともだちがいてくれたから、ねずみばあさんとたたかうことができて、にげきることができたんだとおもいます。
おしいれからふたりがでたとき、みずのせんせいがふたりにあやまって、やさしくなってよかったです。そしてふたりははしりまわったときにふんでしまった子にあやまりました。でも、さいごまでみずのせんせいにはあやまりませんでした。さとしはまだおこっていたのかな。
ミニカーやデゴイチのおもちゃが大きくなってほんとうにのれるようになるなんて、ぼくもたいけんしてみたいです。
うちにはおしいれがないから、おばあちゃんのいえのおしいれにしのびこんでみたいです。まっくらでこわいのかな。おもちゃはなにをもってはいろうかな。
おかあさん、おこるかな。でもぼくもあやまらないぞ。
『おしいれのぼうけん』で伝えたいこと
![図書館でお勉強](https://www.grayzone.blog/wp-content/uploads/2023/11/toshokan_benkyou.png)
自分の主張を通したい子どもの気持ちに寄り添う
さとしは「謝れない困った子ども」ではありません。
あきらからミニカーをとってしまったことも、走り回って友達の手足を踏んでしまったことも、ちゃんと謝っています。自分が悪かったと納得したことにはちゃんと謝れるのです。
でも、「押し入れの外で考える」という自分の主張を全く無視したみずの先生には謝りません。当然、何も悪いことをしていないのに、ねずみばあさんにも謝ることはありません。
みずの先生に何回も注意されてもやめなかったのだから、さとしが悪いとは思うのですが、さとしとしては自分の主張が認められなかったことへの不満がつのっていったのです。
「自分はこうしたい、こう思う。」ということを主張できるのは大きな成長。多少屁理屈じみていても、大人の余裕を見せて聞いてあげようではないですか。
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子どもが自分の力で困難に立ち向かい克服する意味は大きい
押し入れの中でさとしとあきらが経験した冒険に大人は出てきません。
頼れる大人の助けはありません。二人で何とかするしかないのです。
もうダメだと思う時もあるし、諦めてしまいたい時もあったでしょう。それでも二人は励ましあいながら自分たちだけでねずみばあさんという大きな困難に立ち向かい、克服したのです。
その経験がもたらす自信と勇気、自己肯定感はとても大きいものでしょう。まさしく一回り大きく成長したといえます。
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同じ目標に向かって一緒に頑張れる人の存在を大切に
仮に押し入れに閉じこめられたのがどちらか一人だったら、ねずみばあさんには勝てなかったかもしれません。そもそも冒険が始まることもなかったかもしれません。友達でも家族でも、隣で頑張っている人がいることは心強いですよね。そして、その人をリスペクトして大切にすることで、自分も成長でき目標に近づけます。
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今回も400字詰め原稿用紙3枚分です。(1200文字)
実はこのお話、私はそこまで面白いとは思っていませんでした。
でも、この本を見た旦那が「この本、めっちや好きだった。すごいワクワクした。」と口にしました。
「え、ワクワクするんだ。」と私はちょっとびっくり。男子うけのするお話のようです。
私なんかは本の絵をみて時代を感じています。保育園の遊具やみんなの服装。”押し入れに入れる”という行為そのものにも。今それをやったらちょっと問題になりそうです。
とはいえ、押し入れへの憧れみたいな気持ちもよくわかります。「押し入れの上の段をベッドにして寝たい!」と思ったことのある人は多いですよね。秘密基地みたいに使ってみたいとも思ったし。だいたい親に却下されるのですが。
押し入れって子どもにとっては特別な空間。想像力をかきたてる存在です。
さとしとあきらの冒険は他の子どもからしたら憧れでしょう。”謝らない”ことをつらぬき、冒険をやり遂げたさとしとあきらは大きく成長したに違いありません。
余談ですが、、最初の絵で保育園の門に「あそびにはいらないでください」と書いた看板がかかっていますが、最後の絵ではその看板がなくなっています。
みずの先生はじめ、大人の側も思う所があったのでしょうね。
![母親読書イラスト](https://www.grayzone.blog/wp-content/uploads/2024/02/dokusyo_aki_woman.png)
↓こちらは読書感想文と詩の一覧表です。
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