境界知能や発達グレーゾーンのお子さんには、一般的に苦手なことがたくさんあります。
わが家の三男も不器用で、苦手なことが多いですが、その中でも特に難しいのが「自分の体調の悪さに気づいて人に伝える」ということです。
幼いころからそうだったのですが、高校生になった今でも、体調の変化に気づくことが難しく、無理をしてしまうことがあります。
体調が悪いことに気づけない、そしてそれを周りに伝えるのが難しい。この問題は、発達グレーゾーンのお子さんたちに特有の悩みかもしれません。
本記事では、三男の実体験をもとに、どのように体調不良に対処し、親としてどのようにサポートしてきたかをお話しします。お子さんの体調に不安を抱える親御さんや、支援を必要とする方々にとって、少しでも役立つ内容をお届けできればと思います。
- 境界知能や発達グレーゾーンの子どもは、なぜ体調の変化に気づきにくいのか、その特性をお話します
- 親が注意すべき、体調不良を示すさまざまな微妙なサインについて具体的に紹介します
- 三男の体験を通じて、親ができる支援や日常生活で役立つサポートの工夫についてお伝えします
- 将来に向けて、体調不良を適切に伝えるための子ども自身への働きかけや、自立のためにできるステップを考えます
うちの三男グレーゾーンボーイです
私は地方在住の50代。子どもの教育に関わる仕事を週2回ペースでしている”つつじ屋”といいます。
家族:だんな 定年間近の会社員
長男 大学生 勉強が大好き
次男 大学生 自由が大好き
三男 高校生 ウルトラマン大好き
三男は発達障害グレーゾーンで境界知能の持ち主です。
このブログでは、この三男にまつわるエピソードや困り事などを、グチ多めでつづっていきたいと思っています。よろしくお願いします。
発達グレーゾーン高校生が苦手なのは体の不調を訴えること その理由
- 内面の不調は目に見えず、言葉で表現することが難しい為
- 自分の体調に対する認識のズレ
内面の不調は目に見えず、言葉で表現することが難しい為
内面の不調は自分でも把握しにくいようなのです
わが家の三男は境界知能の持ち主で発達障害グレーゾーンの高校生。
勉強は全くできず、手先も不器用、自分の身体の使い方もよくわからない、思っていることを言葉にすることが苦手、字を書くことも苦手。苦手なことは本当に多いです。
親としてはどれも困るのですが、結構やっかいなのが三男本人が自分の体調を把握できない、ということです。
目に見える小さな傷はすぐに訴えてきます。高校生になってもです。老眼のわたしにはよく分からないくらい小さな傷でも、三男には我慢できません。絆創膏を貼らないと落ち着かないのです。
それに引き換え、内面の不調はまず自分からは訴えてきません。最近になって、家にいるとき限定でおなかが痛いことは訴えるようになりました。でも、外出先では言ってきません。
訴えないという以前に、三男本人も自分の体の状態がよく分からないということがあると思われます。熱があればだるいだろうし、おなかが痛ければトイレにも行きたくなると思うのですが、それが体の調子が悪いんだということにつながらないのです。
そして仮に何となく体の調子が悪いと思っても、それをどう伝えたらいいのかが分からないのです。三男の特性として、考えていることや感じたことを言葉にして表現することがとても苦手、ということがあります。熱があれば寒気がしたり、頭が痛くなったりします。それをそのまま「頭が痛い」とか言えばいいと思うのですが、その言葉が出てきません。
このように、内面の不調は目に見えず、言葉で表現することも苦手なことが、自分の体調不良を伝えることが難しい要因になっています。
自分の体調に対する認識のズレがある為
小学生にもなれば、熱があれば「頭が痛い」とか「あつい」とか言ってくるだろうし、「おなかが痛い」とも訴えてくるでしょう。
中学生・高校生にもなれば、この状態は我慢できるレベルか、家で寝た方がいいのか、病院へ行った方がいいのかの判断もある程度はつくと思います。
そしてお腹が痛ければトイレへ行くだろうし、つらかったら静かに横になるでしょう。親に言われるまでもなく、自然にそういう行動をとると思います。
しかしわが家の三男は自分から調子の悪さを訴えてくることはあまりありません。コロナにかかって40℃の熱が出た時はさすがに「ちょっと熱があるかなあ。」と言ってきましたが、それでも「ちょっと熱」のレベルです。
おそらく三男の中で、自分の正常な状態とそうでない状態の区別があまりついていないのではないかと思われます。どこまでが正常でどこからが病気なのか分からないのです。病気だから静かに寝た方がいいとか、トイレに行った方がいいとかという考えにもなりません。
また、コロナにかかった時に「ちょっと熱があるかなあ。」と言ったように、調子の悪さレベルも分からないのです。40℃超える熱なんて、普通ではありません。適切な対処が必要なレベルです。この時はさすがに眠っていましたが、本当に深刻な状態にあったとしても、気づかない可能性もあるのです。
中・高校生になれば自分で判断できるであろう、自分の体の病態の深刻さ加減も、三男には把握しずらいことなのです。
このように、体の不調を感じられたとしても、それが病的なものなのかどうかが分からないため、体調不良と訴えるまではいかないことも要因と思われます。
↓こちらは私の三男のトイレ問題をまとめた記事です。
↓こちらは小学1年生、小学校でおもらしばかりしていた頃のお話です
具体的な体調不良のサインと親の気づき方
- 発熱の場合
- 腹痛の場合
- 「寒い」という言葉の意味
発熱の場合
発熱などはこちらがふとした時に異変を感じておでこを触ったりしない限り、39~40℃くらいまでは何も言ってきません。ふとした時とは、目が二重になっているとか、いつもよりほんの少し食欲がないとか、手を触った時などです。
わたしがいつもと違うことに気づくくらいなので、本人は分かるだろうと思うのですが、こちらが「熱ない?」と聞くまで何も言ってきません。
そんな時に実際に熱を測ってみると38℃くらいあって、「ちょっとだるいでしょ」と聞いても「いや、そんなに」という返事が返ってきます。
その後もすぐに寝ればいいのに、スマホやゲームをしています。
”のどが痛い”という状態も”のどがかわいた”という表現になることが多いです。通常では言ってこないワードが出てきたら要注意。体調があまりよくないことが多いです。
腹痛の場合
発熱も困るのですが、私が最も気になるのが腹痛。
発熱で本人がつらいのは確かですが、まあ何とかなる。でも腹痛で下痢でトイレに間に合わないなんて状況だけは避けたい。高校生がそんな状況だと、まわりもびっくりだし、本人もとても悲しい思いをすることになってしまいます。
わが家の三男。「腹が痛い」ということは言ってきます。でも通常高校生が親に「腹が痛い」って言ってきますか?
親に言う前に自分でトイレに行きますよね。三男の場合、一旦私に行ってきます。そして「トイレに行ってきなよ。」と言うと「そうするか。」という流れです。
どのくらい差し迫った状態なのか、私には分からないのですが、「そうするか。」と言ってトイレに入るとしばらく出てこないことが多いので、おそらくはギリギリの状態なのかなと思っています。
「腹が痛い」の別バージョンとして「おしりになにかいる」というのがあります。
お腹が痛いまではいかないけれどトイレに行きたいような気もする、という状態です。
これもわりと早目にトイレに行った方がいい状態。でも、この言葉はあまり深刻な状況ではなく、例えば登校前の朝によく出るセリフです。病的なものではなく、通常のお通じの状態。
病的な腹痛の前段階として「あんまり腹減ってない。」というのがあります。
これはおなかの調子があまりよくないというサイン。食べることが好きな三男が食欲がないというのは、何かがあるということです。このセリフが出たら要注意。トイレに行くように言ってみたり、出先であればトイレの場所を確認して、行きたくなったらすぐ行くように伝える必要があります。
もう一度言いますが、三男は高校生です。
幼い子どもの心配をするように、三男のことも気にかけます。
そこまでしないと本当に三男が行動しないのか、正直よくわかりません。でも放っておくのもどうしてもこわくて、ついつい世話を焼いてしまいます。
「寒い」という言葉の意味
体調があまりよくない時に言うのが「寒い」ということ
発熱時にも腹痛時にもまず言うのが「寒い」ということです。
三男自身、なんとなく体調がよくないんだけど何なのかよくわからない。その何となく体調がよくない状態を「寒い」と表現してきます。
親の私はその「寒い」が体調不良のサインだと分かります。
が、学校や職場の人には伝わらないでしょう。寒かったら何か羽織れば、で終わりですよね。熱があるかもしれない、腹痛かもしれないなんて心配してくれるはずがありません。
頭が痛かったり、おなかが痛かったら我慢しないで周りの人に言うこと、これを何度も伝えてはいますが、恐らく誰かに言ったことはないでしょう。どんなタイミングで言えばいいのか分からないとか、何か恥ずかしいとか、三男なりに言いにくい理由はあるのかもしれません。
きっと三男はどこかのタイミングでつらい思いをすることがあるかもしれませんね。
旅行先での腹痛トラブル 体調不良時のサポート
- 発言の真意をとらえ、体調不良を疑ってサポートする
- 当たり前にできると思われることができない
- 異性の親が身体的なことに関わることの難しさ
発言の真意をとらえ、体調不良を疑ってサポートする
腹が減ってない→寒い→トイレへGO
先日家族5人で旅行した時のことです。
三男はお昼時、大好きなお刺身を前にしても「腹が減ってない」とあまり箸が進みません。シュークリームも一口食べて残してしまいました。そして「寒い」と。
「あ~まずいな。」と思った私は「トイレ行きたかったらすぐに言ってよ。」と声を掛けました。
でも「うん。」と言ったきり。他の家族がトイレへ行くタイミングで無理やり行かせました。すると運悪く個室がいっぱいだったらしいのです。そこで頼れる長男が違う階のトイレまで連れて行ってくれました。ここで一息。
しかし、午後になって再び雲行きが怪しくなり、また無理やりトイレに行かせます。
するとすぐ出てきて「誰か入っている。」と。「前で待ってな。」と言ってもう一回トイレに入らせました。しかし待っても待っても出てこない。そこへあらわれた長男にまた様子を見に行ってもらうと、「今空いたから入っていったよ。」と教えてくれました。ギリギリセーフというところでしょうか。
当たり前にできると思われることができない
この2回ともに無理やりトイレに行かせているのがポイントです。
自分から行くとは言っていません。ここなんですよね。
行けば出るのにどうして自分からトイレに行くと言わないのか。いっしょにいるのは家族だから遠慮することはないし、まして行きたかったら言ってよと声までかけているのに、です。
これから先、いつも家族が一緒でいられるはずがありません。
そして、誰も三男のことなど気にかけてはくれません。だって、そんなことは当たり前にできると思われるから。見た目はまあ普通、しゃべっても別に普通、だからそんな小さな子に心配するようなことで、本人が困っているなんて、誰も思いもしないはずです。
この辺りが境界知能・発達障害グレーの子どもが社会に出て悩んだり困ったりすることですね。
当たり前にできるだろうと思われることが実はできなかったりする。周りに理解を求めるのもいいですが、まずは自分でできる対処法を一つひとつ考えていく必要があります。
今のところわが家の三男の場合、高校の修学旅行が最大の難所。誰のフォローがなくても自分で解決できるように、事あるごとに対処法を伝えていかなくてはなりません。
異性の親が身体的なことに関わることの難しさ
この旅行では運よく2回とも長男に助けられました。
男子トイレに私が入っていくことはできません。
小さな子なら女子トイレに連れていくのもありだし、100歩譲って男子トイレに様子を見に行くのも許されるかもしれません。でも、高校生のトイレについていくなんてできません。これ、困る人結構いるのではないでしょうか。
わが家の三男は一応トイレは一人で行けますが、もしかしたら一人でのトイレが難しいというお子さんもいると思うのです。自分の家では大丈夫だけど、外のトイレは無理とか。そうなると、母親と息子だけでの外出は難しくなります。逆に父親と娘だけでの外出も考えてしまいますよね。
この問題は結構切実だと思います。どこかへ出掛けるとき、必ずトイレにも行くことになります。身障者用のトイレがある所ならまだいいですが(それでも見た目普通の高校生の三男とは一緒には入れませんが・・・)、ない所も多いです。それを考えると、長時間だったり慣れないところへの外出は、避けたくなってしまいます。親子共々行動範囲が狭くなり、楽しみも減ってしまいがちです。
この問題、わが家の三男はまだ何とか一人で行けるだけいいのですが、そうでない方もいます。想像でしかありませんが、事前にいろいろ調べて身障者用のトイレを探しておいたり、父親がいる時しか外出しないとか、対策をとられるのかなと思います。
自立に向けて 体調を訴えるスキルを育てる
- 体調が悪い時には人に言っていい、と伝え続ける
- 自分で対処するためのステップを伝える
体調が悪い時には人に言っていい、と伝え続ける
思えば体調のことに限らず、何か困ったことがあっても、人に助けを求めることは苦手です。
困ってももじもじしているだけ。自分の思っていることを言葉にして伝えることが苦手なのは分かりますが、体調の悪さを伝えられない、というか、体調が悪いことが分かっていないのです。
体調が悪いことが分かれば、周りの人もそれなりに対応してくれます。伝わらないと自分がつらいだけでなく、周りの人にも迷惑をかけてしまうかもしれません。それだけは本当に避けたい。
頭が痛い時、お腹が痛い時は、ちゃんと伝えること。遠慮することではないし、悪いことでもないこと。困った時は助けを求めていいことなどを伝え続けていくしかないと思っています。
自分で対処するためのステップを伝える
当たり前ですが高校生ともなれば、親の目が届かない場面も増えます。
特に修学旅行などのイベントでは、家族がいない状況でどう対処するかを事前に考え、三男に対処法を伝えています。
例えば、少しでも体調が悪いと感じた時は周りの人たちにすぐに言う・助けを求めるなど。またいろんな場所に出かけたら、まずはトイレの場所を確認するなどの基本的なことを繰り返し伝えています。
考えられる身体的なアクシデント(発熱、頭痛、腹痛、吐き気、けがなど)について、この時はこうする、こういう時は誰にどのように言えばいいかをシミュレーションしておくことで、対処法が三男の頭の片隅に残ればいいなと思っています。そしてそのシミュレーションは1回だけではだめなので、これも繰り返し繰り返し、行事のたびに行います。
そして、私は三男に「体調が悪いときには、遠慮せずに人に伝えていいんだよ」と繰り返し教え続けています。
グレーゾーン高校生の苦手なこと 体調不良に気づけない まとめ
親のサポートはもちろん必要ですが、将来の自立に向けて、境界知能で発達グレーゾーン高校生に体調不良を適切に伝える方法を身につけさせることはとても大切です。
この記事では、わが家の三男の実体験を元に、親ができるサポートと、本人が自立するための一歩を紹介しました。
体調がよくないのは悪いことではありません。
だれでも風邪はひくし、おなかが痛くなる時もあります。
だから、つらいときや困った時はちゃんと周りの人に伝えること。体調が悪いのかよく分からないけれど、何かいつもと違う時も家族には伝えること、これを言い続けるしかないなと思っています。
あなたが悪いわけではないんだから、言っていいんだよ、と。
↓こちらはグレーゾーンの子どもに向けて書いた読書感想文の一覧です。
生まれてから~保育園までのできごと
↓こちらの記事は、生まれて間もないころのお話です。
グレーゾーンの三男にはこんな「あるある」な特徴もありました。
保育園時代に気になっていたことの記事を書いてみました。よろしければお読み下さい。
【発達障害】グレーゾーンの子供のひどいいびきは、アデノイドによる睡眠時無呼吸症かも?治療で劇的改善!発達にも影響!?治療費は?
小学生時代
こちらは小学1年生、小学校でおもらしばかりしていた頃のお話です
小学1年生、勉強やおもらし、のどの手術(アデノイド除去)について書いてます
小学4年、普通級の子どもさんと上手くコミュニケーションが取れなかったお話です。
中学生時代
↓こちらは療育手帳の取得を申請しても、交付を受けることが叶わなかった時のお話です。
↓こちらでは、高校(専修学校)入学までの紆余曲折についてお話しています。
↓義務教育の終わりが見えはじめ、将来について考えてたころのお話です
進路と将来
↓こちらは中学生になって支援級と普通級のどちらが良いかを考えてみた記事です。
↓こちらは体調の悪さを誰にも伝えられない不安について考えた記事です。
↓こちらでは、高校(専修学校)入学までの紆余曲折についてお話しています。
↓こちらは日本政策金融公庫で借りた学費のお話です↓
高校生時代
↓こちらは高校(専修学校)へ入学してから初めての中間テストの結果です。
↓こちらは”専修学校各種学校連合会”についての記事です
出典:文部科学省公式サイトより