境界知能や発達障害グレーゾーンのお子さんをお持ちだと、中学から普通級にしようか支援級にしようか、迷います。
またどんな違いがあるのかも気になりますよね。
お子さんの特性や学力や能力を考え、高校進学も見据え、様々なことを想定しておく必要があります。
つつじ屋がグレーゾーンボーイの三男の時の実体験を踏まえた結論としては、どちらでもいいのかなと思います。
とはいえ、手帳を持てないグレーゾーンのお子さんが、将来何の支援もない中で過ごすことを考えると、普通級でもまれる経験はしておいても損はないかなとも思います。もちろん、お子さんに無理がなければ、です。
ということで、実体験を多くご紹介しながら、個人的な思いも多くお話ししていきます。
うちの三男グレーゾーンボーイです
私は地方在住の50代。子どもの教育に関わる仕事を週2回ペースでしている”つつじ屋”といいます。
家族:だんな 定年間近の会社員
長男 大学生 勉強が大好き
次男 大学生 自由が大好き
三男 高校生 ウルトラマン大好き
三男は発達障害グレーゾーンで境界知能の持ち主です。
このブログでは、この三男にまつわるエピソードや困り事などを、グチ多めでつづっていきたいと思っています。よろしくお願いします。
境界知能であったり発達障害グレーゾーンのお子さん、普通級に在籍していますか?支援級に在籍していますか?
小学校ではずっと普通級で過ごしてきたけれど、中学からはさすがに勉強についていけそうにないから、支援級にしようか。
あるいは反対に、小学校では支援級で情緒面のフォローを受けていたけれど、勉強は不得意ではないから中学からは普通級で行こうか。
お子さんの状態や能力、ご家庭の考え方などによって選び方は変わりますね。今回はわが家の例をお話ししながら、普通級と支援級の特徴などを見ていこうと思います。
支援級とはどんなところ?普通級と支援級のどっちにしようか悩みます
- 支援級に在籍するお子さんは様々です。
- 支援級(特別支援学級)とは
- 支援級での指導方法
- 普通級か支援級かは迷うところ
支援級に在籍するお子さんは様々です。
支援級と言っても在籍するお子さんの状態は様々です。
普通級とは違い、支援級にはざっくり情緒・知的・身体のいずれかの面で困難さのあるお子さんが在籍しています。
勉強はできるけれど身体的に困難さがあるお子さんや、知的障害を持つお子さん、コミュニケーションが取れないお子さんなど、様々な特徴を持っています。
支援級(特別支援学級)とは
支援級は、小・中学校に通う障害のあるお子さんを対象にした少人数の学級(クラス)になります。
通常の学級とは異なり、支援級ではクラスに学年の異なるお子さんも在籍していますね。
支援級は、通常級のクラスと同じような指導も受けながら、知的障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱、弱視、難聴、言語障害、自閉症・情緒障害など、さまざまなお子さんに合わせた教育を受けれるようになっています。
私の三男でもそうでしたが、支援級ならお子さんに合わせた自立活動や各教科の指導がされていますので、障害により通常の勉強についていけないお子さんなどでも、ゆっくりですが学習についていけます。
支援級での指導方法
特別支援学級の指導方法は以下のような感じでした。
個別指導
子どもの状態や学校・地域の体制、保護者の意見も取り入れた授業を行ってくれていました。
うちの三男のような境界知能の子どもに合わせたスピードで、学習もして頂けたのでありがたかったです。(もちろん通常級の生徒さんからは遅れていってしまいますが)
またクラスには、弱視のお子さんもいて視覚補助具の取り扱い方や日光に当たらない特別な対応もされていました。
グループ別指導
学年の異なった生徒さんを混在させたグループで学習をしていました。
うちの三男も学年の違うお子さんが集まるので、コミュニケーション力の向上などもできた気がします。
通常の学級での交流及び共同学習
障害のある児童生徒と障害のない児童生徒が共に学べるように、小学生の頃はうちの三男も定期的に普通級に通っていました。
こういった学習は世間に出てからも、いろんな人と共に生きるためにとても重要なことですね。
普通級か支援級かは迷うところです。
身体障害者手帳や療育手帳を持っていれば、支援級や特別支援学校を考えるのが一般的かと思います。
でも、境界知能や発達障害グレーゾーンのお子さんは、普通級か支援級か迷うところですよね。
なぜなら療育手帳が取得できなければ、将来的に障碍者枠で就職できないからです。
なのでなんとか普通級に行かせて、内申点をもらい普通の高校に行かせようと考える方もいると思います。
また小学校のうちはまず情緒を安定させて、勉強も子どものペースでゆっくりやればいい、と考えて支援級を選ぶご家庭も多いのではないでしょうか。
私の三男の場合は、小学校のうちは支援級でゆっくり勉強させたのは良かったと思います。
それでは、以下の記事より具体的に普通級と支援級のどちらがおすすめかをお話していきます。
↓こちらは療育手帳の取得を申請しても、交付を受けることが叶わなかった時のお話です。
わが家の境界知能・発達グレーの三男の経験談
- 小学校は普通級→支援級→普通級
- わが家の三男の学力と特徴
- 中学入学時、普通級と決めつつも迷いはあり・・・
- 三男の中学3年間での普通級の様子は?
小学校は普通級→支援級→普通級
実際、わが家のグレーゾーンボーイの三男は、小学校入学時は普通級、3年生から支援級、6年生から普通級と、あっちへ行ったりこっちへ行ったりしました。
これは中学校からは普通級でいこうと考えていたからです。そしてなぜ普通級にしようと考えたのかと言えば、高校受験を想定していたからです。
進路について病院の先生に相談したり、公的な教育相談などにも通い、その先々で「中学では普通級でないと内申点がつかないから、高校入試の時にいろいろ選べなくなる。」と言われていました。
小学生の頃の三男はすでに学力は周りのみんなについていくのは厳しい状態だったのですが、それでも「いける高校はあるだろう。」とも考えていました。そんなことから中学からは普通級にして受験に備えようとしていたのです。
でも実際に中学に入ると、あまりの学力の違いに、「いける高校なんてないんじゃない?」と思うようにもなりました。
周りのみんなと三男との学力や様々な能力の差はどんどん大きくなっていきました。
①小学1・2年生は普通級
②小学3・4・5年生は支援級
③小学6年生から普通級(行ったり来たり)
↓こちらは小学1年生、小学校でおもらしばかりしていた頃のお話です
わが家の三男の学力と特徴
ちなみにわが家の三男のIQは80を切ります。幼いころに特定不能の広汎性発達障害という診断も受けています。
勉強はできません。
算数は九九は得意。簡単な分数なら計算できます。
でも四則混合の計算は無理です。面積などもできません。中学の内容は一番初めの正の数負の数くらいで限界です。方程式なんてできません。国語もまず読まない。読めても何が書いてあったのか理解できない。漢字にいたっては小学2年生程度の力しかありません。ほかの教科も同じです。図工や音楽も苦手。
体育も自分の身体の使い方さえ分からず、走ること以外は下手くそです。
ただ、いつも明るく、人当たりはいいので、人間関係で問題になったことはありません。
中学入学時、普通級と決めつつも迷いはあり・・・
そんな三男。中学では普通級でやっていけないことはない。
授業中に落ち着きなく動き回ったり、誰かとけんかになることもありません。ただ学力は致命的。あと精神的にも幼い。
支援級に行けば、もっと緩やかに、いろんなことを三男のペースで行うことができるでしょう。「中学からは普通級で。」と考えてはいましたが、本当にそれでいいのか、ずいぶん悩みました。
↓こちらでは、特別支援学校へ入れないか試行錯誤していたころのお話をしています。
三男の中学3年間での普通級の様子は?
中学の3年間、勉強は全くできませんでした。
テストの点数は6点とか(100点満点です。)。5教科の合計点数が50点いかないのは毎回でした。通知表の評定も ”1” と ”2” しかありません。3年生最後の評定、いわゆる内申点は11点でした。
おそらく授業中は毎日退屈だったと思います。まったく分からないことを朝から6時間ずっと聞き続けるのですから。ノートをとるということも三男にはとても難しいことだったので、ただボーっとしている毎日だったのでしょう。
さすがにかわいそうになって「大変だったら支援級に移ればいいんだよ。」と何回も話しました。でもその度に「別にいまのままでいいんじゃない?」という返事でした。
三男は幸いにも担任の先生や優しいクラスメートに恵まれ、勉強ができないこと以外は普通級で過ごすことに困難を感じてはいなかったようです。
↓学校に行けないお子さんもたまには外へ出てみよう!↓
普通級と支援級の違いは?
- 1.普通級で過ごすと・・・
- 2.支援級で過ごすと・・・
1.普通級で過ごすと・・・
境界知能であったり発達グレーでも普通級で過ごすことはできます。
わが家の三男のように勉強が全くできなかったとしても、学校側から「支援級に移った方がいいのでは。」といったことは言われません。
決めるのは生徒本人やその親です。なので、生徒本人が勉強がつらすぎるとか、人間関係がうまくいかない、といった困難さを感じない限り、普通級で過ごせます。
普通級でいれば評定の点数、いわゆる内申点もつくので、高校受験することもできます。中学卒業後の進路を考えるときに少し幅が広がるといえます。
また、普通級にいれば、学年相当の学習の内容がどのくらいのものなのかが分かります。
きついようですが、自分と周りのみんなとの学力やそのほかの能力の差にも気づきます。
わが家の三男のように境界知能の持ち主には、中学の学習の内容はかなり難しいです。テストでもいい点が取れないことは覚悟しなければなりません。
それでも、その中での自分の立ち位置をはかり、うまく切り抜けていく力をつけることができます。
手帳を持っていないということは、将来働く場面でのフォローはありません。
学校の中では守られても、社会に出れば守ってくれません。学校という守られた環境の中で少しもまれることは、実社会に出てから守られることなく、もまれることに対しての免疫をつけることにもなります。
↓こちらは療育手帳の取得を申請しても、交付を受けることが叶わなかった時のお話です。
2.支援級で過ごすと・・・
仮にうちの三男が「もう勉強は苦しい。クラスのみんなともうまくやれない。」と訴えてきたら、支援級に変わっていたかもしれません。
支援級であれば生活単元といわれる生きる上で必要な知識やスキルを身に着けていく為の学習も多くなります。
そして難しい勉強をする必要はなくなり、それぞれにあったペースで学習ができます。わが家の三男のような境界知能・発達グレーのお子さんには過ごしやすい環境であるといえます。
得意な科目は、普通級で一緒に授業を受けることもできます。
ただ、評定がつかないので内申点というものがありません。ということは、普通の高校を受験することができなくなります。
内申点がなくても受験可能な通信制や高等専修学校を探すことになります。
また、支援級からは、特別支援学校へ進学するルートがあります。
しかしこれは何らかの手帳を持っていることが必須です。境界知能や発達グレーのお子さんは何も手帳を持っていないことが多いですよね。
なので、特別支援学校へ進学することはできません。中学校で支援級だったとしても、特別支援学校へはいけないのです。
中学を支援級で過ごすことは、境界知能や発達グレーのお子さんにはわりと居心地がいいかもしれません。
ただ、どうしても狭い世界でのつながりになりがちです。
いろんな人のいろんな考え方に触れる機会は少なくなります。
もしも可能なら、支援級であったとしても普通級で過ごす時間を取り入れるなどした方が、いろんな経験をすることで成長につながりますね。
普通級 ①内申点が付くので高校受験ができる
②周りのみんなとの学力やそのほかの能力の差にも気づく
③クラスの中でもまれることにより、実社会への免疫力をつけることができる
支援級 ①評定がつかないので、内申点がつかない
②普通の高校受験ができない(通信制や高等専修学校は受験可能)
③特別支援学校へ進学するルートがある(手帳が必要)
④先生の支援が厚く、わりと居心地がよい
↓こちらは療育手帳の取得を申請しても、交付を受けることが叶わなかった時のお話です。
発達グレ-ゾ-ンの中学生は普通級と支援級のどっちがいいの?
どちらでもだいじょうぶですが、わが家の経験からすれば普通級をお勧めします
結局のところ、普通級でも支援級でも、進学先はあります。
↓こちらでは、高校(専修学校)入学までの紆余曲折についてお話しています。
選択の幅は決して広いとは言えませんが、どこへも行くところがない、という状態にはなりません。
ただ、私が三男を見てきて思うのは、普通級でよかったかな、ということです。
支援級にいる間は守られています。
いろんな困難から、難しい学習から、複雑な人間関係から、様々なものから守られているといえます。
しかし、手帳を持たずに支援級に在籍していた場合、結局卒業後は普通級の生徒さんたちと同じ学校で過ごすことになります。
通信制高校や高等専修学校には発達グレーなどの生徒さんも多くいますが、普通級の定型発達の生徒さんと同じ学習内容、同じ空間で過ごすことになるのです。守られなくなるのです。
お子さんの性格にもよりますが、高校生になって、守られなくなった環境でいろんなタイプの友だちに囲まれたり、早い学習ペースに追いかけられることにストレスを感じてしまうことがあるかもしれません。
そのギャップを少しでも軽くするには、義務教育という守られた期間である中学時代を普通級で過ごしておくことは、とても有効であると思います。
わが家の三男は、中学校で勉強も様々な活動も、周りのみんなのようには何一つできませんでした。
テストも最下位。
でも、自分の力がある程度わかった状態で高等専修学校へ進んだので、そこでできなくても落ち込むことはありませんでした。
長い目で、高校、その先の就職まで考えた時、お子さんにはどんな力をつけたいのか、お子さんが無理しすぎずに過ごせる場所はどこになるのか、その場所へはどうしたらたどり着けるのか、そんなことを考えて中学校の過ごし方を決めていけるといいかなと思います。
- 支援級(特別支援学級)の利点
少人数のクラスで、子どもに合ったきめ細かい指導が受けられます。
さまざまな障害や同じような障害を仲間と学べます。
先生の支援が厚く、わりと居心地がよい - 普通級(通常級)の利点
一般的な学級での社会性やコミュニケーションスキルを身につけられます。
クラスの中でもまれることにより、実社会への免疫力をつけることができる - 注意点
支援級は境界知能のお子さんに適していますが、社会へ出た時の将来を見据えて徐々に普通級へ慣れていくのも重要ではないでしょうか。(療育手帳などが無い場合)
もちろん先生方や学校のアドバイスはとても重要です。
↓こちらは三男が中学生時代に専修学校へ見学に行ったときのお話です。
↓こちらでは、高校(専修学校)入学までの紆余曲折についてお話しています。
↓義務教育の終わりが見えはじめ、将来について考えてたころのお話です
↓こちらでは、発達障害・境界知能の子どもの高校選びについてお話しています。
出典:文部科学省公式サイトより